2002年10月04日
伊藤忠、米国バイオベンチャーと提携、細胞治療事業参入へ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:伊藤忠商事

 伊藤忠商事は4日、米国の細胞治療研究開発ベンチャーのセレクシス社と提携し、国内における細胞治療合弁事業設立を目指すと発表した。両社は今後、セレクシスのREM技術を応用し、疾患治療用細胞医薬を開発、製造、販売する日本法人を設立する。発表内容次の通り。

 セレクシス は、2000年に遺伝子治療研究開発企業Targeted Geneticsの子会社として創立された。同社は、抗原特異的なTリンパ球を短期間に大量に増殖させる特許技術、REM(Rapid Expansion Method:急速拡大法)の研究及び臨床応用を目的とするバイオテクベンチャー企業である。REM技術で調製された抗原特異的なTリンパ球は、これまでに全世界で150人以上の様々な感染症患者やガン患者に投与され、その臨床における安全性と有効性が科学論文などで発表されている。

セレクシスは、2003年から米国でB型慢性肝炎患者を対象とする臨床第I相試験を実施する予定である。同社は、患者の血液中に存在するウイルス感染細胞やガン細胞を認識して攻撃する抗原特異的なTリンパ球を、REM技術を用いて体外で大量に増殖させてから患者へ戻すことにより、ウイルス感染症やガンの治療を実施することを目指している。

 伊藤忠とCellExSys Inc.は、薬事法、医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)や、ヒト由来細胞の品質や安全性に関する指針に準拠してREM技術で治療用細胞を製造する施設設備の確保を進めていく予定である。両社は出来る限り早期に日本法人を設立し、臨床試験を実施する方向で検討している。

 伊藤忠は世界最大のバイオテクベンチャーキャピタルグループMPM Capitalが運営するMPM BioVentures III Parallel Fundへ2,000万ドル出資したが、同ファンドの投資先である細胞治療・再生医療バイオテク企業との国内での協業可能性も視野に入れ、2010年の市場規模が3,000億円と見込まれる再生医療市場において、将来的には種々の疾患に対する細胞治療・再生医療を提供する生物医薬品開発ビジネス展開を目指す。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/cgi-bin/fax/search.cgi?CODE=249