2002年10月08日 |
JPOの専用樹脂による燃料タンク、トヨタが新車種にも採用 |
日本でもいよいよ樹脂製タンク搭載の時代に |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:トヨタ自動車、日本ポリオレフィン、ホンダ |
トヨタ自動車はこのほどプラスチック製燃料タンク(PFT)の本格採用に踏み切った。7日に発売した5〜8人乗りの新型スポーツ・ユーティリティ・ビークル「ランドクルーザープラド」と、11月15日に売り出す5人乗りの「ハイラックスサーフ」の両新車種に4種6層の樹脂タンクを採用、この結果、同社の樹脂タンク搭載車種は既存の「スープラ」を合わせて一気に3車種に増えることとなった。マツダに続く本格採用の動きであり、これが起爆剤となってわが国の自動車業界も欧米に続いていよいよ燃料タンクの樹脂化時代に本格移行することになりそう。 今回トヨタ自動車が採用に踏み切った樹脂製燃料タンクは、高密度ポリエチレンとガスバリア性樹脂(EVOH)など3種類の樹脂を接着性樹脂を使って複合中空成型したもの。主原料の高密度ポリエチレンと接着性樹脂は、日本ポリオレフィン(JPO)が独自に開発したものが採用されている。また、タンクの成形加工技術と成形機も同社の開発によるものといわれる。 日本ポリオレフィンはPFTの開発の先駆者で、同社の樹脂と成形加工技術によるPFTの搭載車種は、トヨタの「スープラ」、ホンダの対米向け「アコード」、マツダの4車種、それと今回のトヨタの2車種の合計8車種を数え、だんとつのシェアを確保している。マツダの4車種のうちの2車種は、今年5月発売の「アテンザ」と8月に発売されたばかりの「デミオ」の両新型車。さらに今後は、ホンダが「シビック」や「フィット」に搭載しているPFTの原料樹脂を従来の海外品からJPOのレジンに切り替えようとの動きもあって、わが国でも自動車の燃料タンクの樹脂化が急ピッチで進むのは確実と見られる。 JPOの調べによると、欧米ではいち早くPFT化が進展、米国のPFT化率は昨年で65%に達し、EUでは実に90%にもなっている。樹脂の消費量は米国が年5万8,000t、EUが11万tと想定されている。対する日本のPFT化率は10%にすぎず、消費樹脂量はおおむね6,000tどまりと見らている。 しかし最近はわが国の自動車業界でも、金属タンクと異なり錆びが発生しないため15年以上もの耐久性を有すること、軽いこと、自由な形状のものができること--などPFT特有の強みが高く評価されるようになってきている。JPOでは、こうした点から05年にはPFT化率が50%を超え、樹脂の消費量は2万4,000tになると予想している。また、さほど遠くない時期に樹脂消費量は5万tに達するとも見ている。 |