2002年10月08日
フェノールの品不足が世界各地で深刻に
アセトンやBPAにも影響が波及、市況が急騰
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:三井化学

 フェノールの品不足がここにきて世界各地で一段と深刻な様相を呈してきた。米・イネオスの年産40万t能力の大型プラントの爆発炎上が大きく影響してのもので、これに伴いアセトンやビスフェノールAも極度な逼迫状態に陥っており、このためこれらの製品の価格は欧米亜の全ての地域で全て急上昇を続けている。わが国でも、フェノール、アセトン、BPAの各メーカー全てが内外の注文に対応できずに苦境に立たされている。
 
 フェノールの品不足が最も深刻なのは米国だが、それに劣らずここにきて厳しい局面を迎えているのは、好調な需要が続いている中国を中心としたアジア地域といえる。イネオスからの流入に対する依存度が年々強まっていたことが響いている。加えて、シンガポールと日本で大型フェノールプラントが相次いで定修・運休に入りつつあることが事態を一層深刻なものとしている。
 シンガポールでは、三井フェノールシンガポールが10月1日から年産20万t能力のフェノールプラントの定修に入っており、11月中旬までの45日間は運休状態が続く。また、日本では三井化学・千葉工場の同20万t設備が10月17日に定修入りして、11月19日まで運休となる。さらには、韓国の錦湖が10月末から同12万tプラントを定修のため約2週間運休する予定にあり、また台湾の信昌化工が12月中旬から同12万t装置をやはり定修のため3週間休止する計画だ。
 
 一気に供給力が縮小するわけで、これに伴いアセトンとBPAも急速に品不足が進んできている。このため、最近のアジア市況は軒並み急騰している。フェノールのCFR価格は、トン当たり100〜150ドル上がって750〜800ドルに達している。アセトンは120〜150ドルアップの600〜630ドルとなっている。700ドルに達するのは時間の問題と見られる。BPAも100〜150ドル上がって800〜850ドルが直近のオファー価格となっている。
 しかも、三井化学など日本のメーカーはオファー価格が上がっても実際に船積みできるだけの余裕がなく、当分の間、せっかくの需要に応えていけない状況にあるという。
 イネオスの復旧がいつになるかが全く読めないだけに、一連のフェノール関連製品の品不足状態が長期化する事態は避けられないと見られる。