2002年10月09日
TDK、無機と有機のELディスプレイ開発
来年末以降に量産化へ、カラー化実現
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:TDK

 TDKは白色の発光層とカラーフィルターを重ね合わせる有機EL(エレクトロルミネッセンス)のディスプレイを開発、10月上旬に千葉の幕張メッセで開かれた展示会「CEATEC JAPAN」に出展し注目された。来年中に月産3,000枚ていどの量産にふみきる方針である。また、同社はカラー表示が可能な無機ELディスプレイの開発にも成功、同展に出展した。2004年はじめまでに量産化する計画。
 
 TDKは有機EL計画を2001年に発表していたが、白色の発光層とカラーフィルターを重ね合わせるという独自の技術で製品化に取り組み、青、緑、赤(三原色・BGR)を発光層に使う他社に比べ時間がかかっていた。また、カラーフィルターを用いない方式の三原色発光層にたいし、有機材料の組成や製造方式などを改良し、十分に対抗できるディスプレイを供給できるとしている。
 
 同社の有機ELはディスプレイパネル全面で64色か16色を表示できる。16色は本年末、64色は来年早々にサンプル出荷する。北茨城工場で量産をはじめ、2005年に100億円の売り上げを目ざす。大きさは3.5インチ、厚み約5ミリでLCD(液晶ディスプレイ)に比べ半分ていど。PDA(形態情報端末)や計測器、カーナビなどの車載機器などの用途を見込んでいる。
 
 一方、無機ELはTDKが資本参加しているカナダのアイファイヤー・テクノロジー社と共同開発したもの。アイファイヤーの無機EL技術とTDKが独自に開発した青色の発光体材料を組み合わせてカラー化している。
 
 寿命が3万時間以上で、まず12インチ以下の小型製品を来年末からつくる。画面の輝度は200カンデラ、112万色を表示できる。CEATEC展示会では5.5インチのディスプレイも展示した。無機ELディスプレイの用途については駆動電力が必要なため、工業用か車載用が主力になるとしている。