2002年10月09日
MMAモノマーの需給、アジア全体で一段と窮屈に
日本のモノマーメーカーの定修の集中も影響
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:旭化成、住友化学、三菱ガス化学、三菱レイヨン

 MMAモノマ−の需給バランスがここにきて一段と逼迫してきた。内外の需要が引き続き活発なのに対して、同モノマーメーカーによる秋の定修の相次ぐスタートで全体の供給力が大幅に縮小してきたことが強く影響している。
 
 同モノマー業界の定修は、かねてから毎年の秋に多くが集中するパターンとなっている。今年も同様で、メーカー6社のうち4社・4工場が定修を実施し運休する見通しとなっている。現在はすでに住友化学工業・姫路と三菱レイヨン・大竹の2工場が運休中。住友化学工業・姫路工場では年産(以下同)5万tプラントが9月中旬から1ヵ月の予定で運休。また、三菱レイヨン・大竹工場では2系列合計10万5,000t設備が9月25日から稼働を休止している。同工場の運休期間は45日の見通し。
 
 これらに続いては、旭化成・川崎と三菱ガス化学・新潟の2工場がともに10月中旬から運休となる。旭化成・川崎工場では7万tプラントが約1ヵ月にわたって休止する。もっとも同社ではこの間に、年3万tのデボトルネックの工事も並行して実施する。完工後の設備規模は10万tとなる。C4ベースの製法で1系列10万t規模の設備を持つのは、今回の旭化成が世界でも初めて。
 一方の三菱ガス化学・新潟工場では3万4,000t設備が40日間運休となる見通し。同モノマー業界の総設備能力は約50万tだが、そのうちのおよそ2分の1が9月中旬から11月下旬までの間運休となるわけ。
 
 対する需要は、液晶ディスプレイの導光板用と透明ABS樹脂向けを中心に世界各地で引き続き活発で、このため日本各社が秋の定修が完了する11月末までの間、特にアジア地域全域ではパニックに近い事態が発生するとの見方さえある。旭化成の3万tの能力増も、試運転に一定の期間が必要なので実際に10万tのフル生産が実現するのは来年早々となる見込みだ。
 
 しかも、タイのTMMAの7万tプラントが電気系統のトラブルで9月末に運休するというアクシデントも発生している。これもあって、現在のアジア相場は再び急上昇中。すでにCFRトン当たり1,300ドルに達しており、引き続き100ドル単位で続騰していくとの見方が広がっている。