2002年01月17日
グランドポリ、PPのコスト削減に思い切った取組み
デリバリーの改善などでも35億円の合理化を目指す
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:宇部興産、三井化学

 三井化学の全額出資によるポリオレフィン専業会社「グランドーポリマー」は、高石工場で実施するPP設備のスクラップ・アンド・ビルドにとどまらず、多面的なコスト合理化策を短期集中的に実行に移して企業体質を抜本的に改善していく。

 S&B以外の手法としては、PPの全販売量のおよそ70%を占めている一回当たり2トン以下の小口配送を極力集約して10トン単位などの経済規模に改めること、内外のコンパウンドの生産体制をより合理的な姿に整備すること、高石工場だけでなく市原や堺の工場でも技術面のブレークスルーによって生産の効率を大幅に高めること--などを具体的なテーマに掲げ、早期クリアに挑戦していく考え。一部についてはすでに実行段階に入っている。05年までに35億円の合理化効果を上げるのが現在の目標という。うちデリバリーの改善だけで12~13億円のコストカットを目指していく方針。
 ポリオレフィンメーカーの間には、現在の企業体質では今後激しさを増す一方の国際生存競争を生き抜いていけないとの判断からアライアンスを軸にコスト競争力の強化に本腰を入れて取り組むところが増えている。三井化学もその一つだが、同社の場合はポリオレフィンの中でも特にPP事業の充実強化に多くのエネルギーを集中していくことにしている点が大きな特徴。狙いの実現のためには思い切った投資も必要との考え方であり、昨年10月に実行した宇部興産からのグランドポリマーの株式(全体の33.3%)の買い取りと今回のPPのS&Bとだけでも投資額は200億円近くになる。こうした戦略が狙い通りの効果を上げ、その一方で物流や生産・販売活動の面での多彩な合理化策も着実に実行に移されていけばグランドポリマーの体質は大きく強化されることになる。