2002年10月24日
昭和電工、来春から廃プラのアンモニア原料化をスタート
アンモニア事業基盤の強化と循環型社会形成への寄与を目的
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:昭和電工

 昭和電工は来年4月から廃プラスチックのアンモニア原料化の活動をスタートさせると24日発表した。
 
 これは、容器包装リサイクル法に沿って自治体が分別収集する家庭系廃プラスチックを主体とした使用済みプラスチックを水素と一酸化炭素を主成分とする合成ガスに変換して自社のアンモニアの原料などに活用していくというもの。狙いについては、「基盤製品の一つであるアンモニアの原料多様化をはかることによって同製品事業の基盤をさらに強化すると同時に、環境負荷の低減で循環型社会の形成に寄与していくことにある」(柏田邦夫同社常務)と説明している。
 
 現在、同社川崎事業所内で専用プラントの建設工事を進めており、来年3月に完工の予定。同社では、この設備で1日当たり195t(年間約6万4,000t)の廃プラスチックから175tの液化アンモニアをはじめとする化学品を製造する計画。廃プラスチックの回収対象範囲は、川崎市を含め1都・9県となる見込み。家庭系に加えて、川崎市内および周辺の企業から持ち込まれる産業系廃プラスチックも利用していく。年間6万4,000tのうちの30%ていどが産業系で占められることになりそう。設備の建設費は74億円。うち37億3,700万円を国と川崎市とが環境調和型地域振興施設整備補助事業費の枠内で補助する。 

 廃プラスチックをアンモニア原料に再利用していくのは世界でも今回の同社が初めて。回収した廃プラスチックを破砕したあと1300度C以上の高温でガス化処理する方法を取るが、この際、ガス中の塩素はアルカリで中和して場内のソーダ電解原料として利用していく。したがって、回収プラスチックの中から塩ビを分別する必要がないのがこのプロジェクトの持つ特徴の1つ。
 
 この計画によって、同社は現在使用しているナフサやコークス炉ガスなどのアンモニア原料の半分を廃プラスチック処理で賄うことになるという。原料コストはナフサの2分の1近くまで縮小できる見通しと説明している。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/cgi-bin/fax/search.cgi?CODE=311