2002年10月30日
凸版、有機ELで英オプシス、CDTと提携
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学、デュポン、凸版印刷

 凸版印刷は、フルカラー有機ELディスプレイの製品化を実現するため英オプシス社と共同開発契約を結び、また英ケンブリッジ・ディスプレイ・テクノロジー社(CDT)の株式を取得したことを28日明らかにした。3社は有機ELディスプレイの開発と事業化について戦略的に提携強化することで合意した。
 
 オプシスはナノ材料「デンドリマー」を開発、向う3〜4年に高性能有機ELディスプレイの製品化を完了したい考え。1997年ベンチャーキャピタル4社とオックスフォードなどからの出資でスタートした。
 
 デンドリマーは規則的分岐構造を持つ樹脂状の分子。同一分子中に発光機能と塗工特性の双方を組み込むことで、単純な構造で高機能を有するディスプレイが実現できるという。
 
 共同開発ではデンドリマーの有機EL材料をウェットコーティングで塗布し、モニター仕様の高精度でパターニングする新規の材料と方式を開発することによって大画面のフルカラーディスプレイを高品質、低価格に実用化する方針。今後、素子の長寿命化と高収率な発光層パターニング方法の開発にチャレンジする。
 
 一方、CDTはポリマーEL材料とプロセス技術を持ち、凸版の製版コア技術や大画面への色材の塗布パターニング技術と補完する。これにオプシスの技術が加わることにより、電機メーカーの製造するアクティブ・マトリック基板に、発光層を塗布、パターニングして素子化することにより、フルカラー有機ELディスプレイの実現をはかる。
 
 CDT社は1992年にベンチャーキャピタル、ケンブリッジ大、デュポン、住友化学などの出資により設立された。有機ELディスプレイの市場は2005年に2,300億円、2007年には4,000億円の市場になると予想され、電機メーカー、ディスプレイメーカー、材料メーカーなどによる市場競争が激しくなっている。