2002年05月20日
旭化成、6月に増設完了。液晶導光板用のMMAポリマー
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:旭化成、クラレ、住友化学、三菱レイヨン

 旭化成はメチルメタクリルレート(MMA)事業の積極的な拡大に取り組んでいるが、ことし11月に完成する川崎工場でのMMAモノマー増設を前に、6月中にフラットディスプレーなどに使われている液晶導光板向けMMAポリマー「デルペット」の増設を完了、操業を開始することになった。
 
 MMAポリマーは千葉工場で在来の年産1万5,000トン設備を5,000トン増の2万トンに拡充。また同時にMMAシート(押出板)「デラグラス」の設備年産5,000トンについても年内完成をめざしている。
 
 MMAのアジアでの需要は年間約80万トンの規模になっており、今後も年率3~4%の伸びが期待されている。旭化成ではMMAモノマーの製造工程を短縮する「直メタ法」の技術を開発したことからMMA事業の積極的拡大に重点を置き、1999年1月に川崎工場に年産7万トン設備を完成した。増設中の設備は3万トン。直メタ法はイソブチレンを原料にメタクロレインをつくり、これを直接MMAとするもので、メタクロレインをメタクリル酸としたのちMMAとする「直酸法」やイソブチレン—メタアクリロニトリル—メタクリルアミド—MMAの工程をたどる「MAN法」などに比べコスト的に有利である。
 
 こうした背景で同社はMMAポリマーの増設を完了するわけだが、MMAポリマーの設備能力は成形材料の液晶導光板用を含む重合分が年産5万1,000トンになるので、従来トップだった三菱レイヨンの4万7,700トンを上回る。
 昨年来の重合分はほかにクラレが3万8,600トン、住友化学が2万9,500トンで4社計16万1,800トンだった。
 
 成形材料としては賦形分が三菱レ4万4,200トン、旭化成2万7,000トン、住化2万2,900トン、クラレ2万トン、。板が注形板で4社計で5万7,350トン、押出板で同5万9,500トンとなっている。
 
 液晶導光板用の需要は昨年の1万5,000トンからことしで2万5,000トンにもふえる見通しで、各社とも5月から20%ていどの値上げに踏み切っている。
 なお、三菱レはさきにMMAポリマーでの中国進出計画をきめ、旭化成もさらに中国か台湾での生産を予定しているようである。