2002年11月06日
中国の樹脂輸入、日本品のシェアが軒並み低下
ランクも6樹脂中の4樹脂が大幅にダウン
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 大手商社筋の調査によると、中国がかねて海外から輸入している汎用樹脂それぞれに占める日本品のシェア(全輸入品に占める割合)がこの数年で著しく低下している。また、ランクも、汎用6樹脂のうち4樹脂が短期間で大幅にダウンしている。これには、韓国、台湾の2大既成勢力に加え、タイ、サウジアラビア、シンガポールといった石油化学新興国も中国市場に強力な市場基盤を構築すべく競って激しい売り込みを図ってきていることが大きく影響していると見られる。
 
 中国が今年1〜9月の間に輸入した汎用6樹脂それぞれに占める日本品のシェアは、LDPEの場合で7.1%、HDPEで6.6%、PPで7.3%、PSで10.7%、ABSで8.9%、PVCで29.5%--となっている。PVCを除くと全体にかなり低い。
 3年前の99年の年計のシェアは、LDPEが11.9%、HDPEが16.0%、PPが15.6%、PSが14.5%、ABSが13.7%、PVCが31.5%--であった。10年前、さらにその先の10年前に比べると99年の占有率もかなり低レベルだが、今年1〜9月の累計は日本品の地盤沈下が一段と進んでいることをはっきり示している。PVCだけはわずか2ポイントの縮小にとどまっているものの、他の5樹脂が全て大幅に後退している点は軽視できないところだ。

 これに伴い、ランクも、大幅に低下したものが多い。ABSは3位をキープ、またPVCは1位を維持しているが、LDPEとHDPEはともに2位から4位へ、PPは2位から5位へ、PSは3位から4位へとそれぞれ下降している。
 
 今後も、コスト競争力に優れる中東勢をはじめ新興国が一段と精力の拡張を目指してくるのは確実と見られる。いまでこそなおトップシェアを維持しているPVCも含めて、日本の汎用樹脂メーカー各社が対中輸出戦略をどう考えていくのかが注目される。
 
 各樹脂の今年1〜9月計の日本品の数量とシェアとランクは以下の通り。かっこ内は99年計のシェアとランク。
 ▽LDPE  128,208t、 7.1%、第4位(11.9%、第2位)
 ▽HDPE  105,588t、 6.6%、第4位(16.0%、第2位)
 ▽PP   131,590t、 7.3%、第5位(15.6%、第2位)
 ▽PS   117,471t、10.7%、第4位(14.5%、第3位)
 ▽ABS  110,727t、 8.9%、第3位(13.7%、第3位)
 ▽PVC  394,227t、 29.5%、第1位(31.5%、第1位)