2002年01月11日
昨年のソーダ生産430万トン、インバランスは縮小、田代ソーダ工業会長が報告
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:東ソー、日本ソーダ工業会

 日本ソーダ工業会の田代圓会長(東ソー会長)は11日、経団連会館で開いた同工業会の賀詞交歓会で挨拶するとともに、2001年の需給状況や、今後の課題などについて考えを明らかにした。この中で需給についてはなお厳しい見方をしていること、環境問題への取り組みにさらに力を入れること、また2002年度に計画最終年度を迎える「ガス拡散電極技術開発研究」には「目標達成に全力をあげたい」と強調した。
 
<2001年のか性ソーダ、塩素の需給状況に関する報告内容は次の通り>
 
 2001年のか性ソーダの生産量は約430万トン、2000年の447万トンから4%弱の減少になると見られる。需要は、国内が前年比約3%減の370万トン、輸出は同じく9%減の60万トン、出荷計は約430万トンで4%の減少となる見込みだ。

 一方、塩素は、塩ビや紙パ向けなどの需要減少により、か性ソーダ換算約470万トンと6%の減少が見込まれる。2年連続の減少になる。
 
 塩素の需要と、か性ソーダの需要との差、つまりインバランスは、前年から12%程度縮小して約100万トン(か性ソーダ換算)になる見込みだが、このインバランスは、か性ソーダの輸出60万トンと、EDCなど塩素製品の輸入40万トン(か性ソーダ換算)で埋められた形となっている。このインバランスは25年前位から、主として塩ビの生産増に伴なって増加し、ピークの96年には約140万トンに達していた。
 
 ところで、塩素の最大用途である塩ビモノマーの2001年の生産量は約280万トンと予想される。前年比6%近い減少となるが、消費された塩素量は、約200万トンと、塩素全体のの約43%を占める。

 また、塩ビモノマー、ポリマーの輸出は約120万トン、モノマ一生度量の約43%が直接、間接に輸出されたことになる。
 
 この結果、塩ビ関連で見た塩素の輸出人バランスは、EDC輸入による約27万トン分の塩素と、塩ビモノマ一やポリマーで輸出される塩素約85万トン、差し引き58万トンの輸出超過となる。
 
 か性ソ一ダの輸出60万トンに対し、塩ビとして塩素のネット輸出が58万トン、差し引きか性ソーダの輸出超過は2方トンとなって、ほぼバランスしていると見ることも出来る。
 
 このように、いろいろな見方が必要な塩素と苛性のバランス問題だが、今後
は、塩素の需要動向が大きなポイントといえる。塩素の最大用途である塩ビの動向や、紙・パのECF化の問題などがどうなっていくか、注目したい。また、この苛性・塩素のバランスを、日本国内だけの問題として考えるペきものなのかという点もある。塩ビは40%強を輸出している現状からすれば、アジア市場の中でのバランスをより重視する必凄もありそうだ。

 ソーダ灰は、2001年は輸入品のウエイトが一層高まり、内需は97万トンと、前年比約8%減少する見込みだ。供給サイドを見ると、国内生産は50万トンを割込み、約45万トンと前年から20万トン以上の減少となる。一方、輸入は約51万トンと10万トン以上増加する見込みで、輸入比率は53%程度と初めて国内生産を上回る。2001年の夏以降、生産、内需ともに減少傾向が続いているが、今後の景気見通しを考えると、引き続き需給動向は厳しいものになるといわざるを得ないだろう。