2002年11月15日
三井化学のシンガポールのPH設備、増強工事が完了
アジア全域の品不足はなお継続の見通し
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学がシンガポールで進めていたビスフェノールAとフェノール(アセトンを並産)の両設備の増強工事が相次いで完工した。ただし、いずれも小規模の増強なので、現在のアジア地域全域におけるフェノールチェーン製品全体の極端な品不足状態の緩和にはほとんど寄与できないと見られている。
 
 今回完工したのは、ミツイビスフェノール・シンガポール(MBS)によるビスフェノールA(BPA)の年産7万tの増設工事と、ミツイフェノール・シンガポール(MPHS)によるフェノールの同5万tの増強工事。これによって、MBSの総設備能力は同21万tに、一方のMPHSの総供給能力は同25万tとなった。
 現在は両設備とも増強後に必要な慣らし運転を実施中で、今後徐々に稼働率を上げていってPH設備については今年末に年25万tのフル稼働に持っていきたい考え。BPAのプラントのフル稼働は年明けになりそう。
 
 現在のPHの需給は、米・イネオスの年産40万tプラントの事故による長期運休と他のPHメーカーの秋の定修とが重なって全世界的に極端な品不足状態に陥っている。これに伴い、並産のアセトンと誘導品のBPAもかつてないほどの深刻な逼迫状態に追い込まれている。
 
 それだけに、今回の三井化学の設備増強はタイムリーといえる。しかし、わが国の商社や三井化学をはじめとしたフェノールならびにその関連製品各社では、今回の増強ていどでは全体の需給を緩和する効果はほとんどないと見ている。