2002年11月18日
日本ゼオン、精密レンズ・有機EL市場にもねらい
ゼオノアフィルムなど3年後、光学材料で150億円
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:日本ゼオン

 日本ゼオンは熱可そ性高機能透明樹脂「シクロオレフィンポリマー」(商品名・ゼオノア)を用いたLCD(液晶表示装置)用光学フィルム「ゼオノアフィルム」の製造、販売を今月から開始したが、引き続き導光板やプラスチックレンズ、透明電導フィルムなど高機能光学材料の市場拡大に力を入れる方針である。
 
 同社の光学材料事業は現在年間約50億円規模だが、2005年までにゼオノアフィルムを50億円(500〓、約500トン)、他の材料を100億円まで伸ばし、150億円規模とする予定。
 
 ゼオノアはC5溜分から抽出するジシクロペンタジェンを原料に製造(川崎工場)するが(1)光線透過率が92%と透明性が高く、低複屈折で光学的等方性にすぐれる(2)高温高湿下でも吸湿がなく、寸法安定性がよい(3)耐熱性が140〜160℃とポリカーボネート以上にすぐれる---などの特徴がある。
 
 ゼオノアフィルム(高岡工場)はこれを溶融押出法で加工するが、在来の溶液キャスト法に比べ、困難とされていた膜厚精度の向上とフィルム上にでるダイラインという細かいスジの形成を除去して、生産性を高め、光学用フィルムの製造を可能にした。
 
 このため、ポリカーボネートやメタアクリル樹脂に代る導光板材料としての用途拡大ができるようになったわけである。とくにLCD用ではディスプレイの映像のダブリを無くす位相差フィルムとして、当面の伸びが期待される一方、DVD青色レーザー用レンズ、有機EL用保護フィルムなどにも用途開発が進むと期待している。