2002年12月11日
日本触媒、ポリカーボネートで自動車内温度抑制
フタロシアニン系有機顔料を混入
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:日本触媒

 自動車の温度上昇を抑えるプラスチック製の窓材が開発された。これは可溶性有機顔料のフタロシアニン化合物をポリカーボネートにモールディング(練り込み)したもので、フタロシアニン化合物は近赤外線吸収色素であることから自動車内の温度を最大10℃ほど低下させることができるという。ポリカーボネートはガラスに比べ軽量で燃費の節減につながるため、自動車各社も強い関心を寄せている。
 
 ガラスに代わる窓材を開発したのは日本触媒。近赤外線吸収色素「イーエクスカラー」を兵庫県の姫路製造所で生産しているが、各種溶媒への溶解性が高く、耐熱、耐光性にすぐれるといった特性を生かすことをねらって窓材に目をつけた。来年春にもサンプル出荷をはじめ2005年までに本格的な製品化をめざす。
 
 自動車窓材としてはサンルーフや後部窓用に売り込む一方、フロントガラスを除く全窓も対照にしたい意向。
 
 フタロシアニン化合物は800〜1,000ナノ(1ナノは10億分の1)メートルの波長の近赤外線をカットする。従来はガラス窓に熱線吸収フィルを張るなどして温度上昇を抑えていたが、ポリカーボネートは透明性が高く、フィルムを張る手間も省けるという。
 
 同社はPDP(プラズマディスプレイパネル)の近赤外線カットフィルター用色素を手がけているが、今後は赤外線吸収色素を広く活用するため、自動車用窓材ばかりでなく新市場を開拓したい考えである。