2002年12月13日
三井化学、酵素を触媒とした医薬中間体・ヌクレオシドを開発
バイオテクと合成技術の組み合わせで新領域切り開く
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は、独自の研究によって、医薬中間体の新たな製造技術の開発に成功した。バイオテクノロジーと合成技術を組み合わせ、酵素を触媒とした新しい反応プロセスによって、従来の方法だけでは得られない優れた機能を持つ光学活性体を作り出すというもの。その第一弾として、がんや糖尿病の治療に優れた効果を発揮することが期待されているアンチセンス医薬品の中間体の製造技術を確立、欧米の医薬品メーカーの間で注目を集めている。
 
 今回同社が新たに開発に成功したプロセスの大きな特徴は、必要な薬効だけを発揮して人体に悪影響をおよぼすことがないものとして各方面から期待されているアンチセンス医薬品の中間体であるヌクレオシドを製造できる点にある。
 医薬中間体の事業には、医薬品会社から注文を受けて製品を生産する受託事業と、特殊な技術を生かした特徴ある化合物を販売する事業とがある。三井化学は、当初から後者にターゲットを絞って独自の研究を進めてきた結果今回の成果を得たもの。
 
 現在は、同社大牟田工場で製造した製品を試販しているところ。欧米の有力医薬品メーカー3社が、がんの治療薬向けに採用したい意向を示しているほか、他の医薬品の用途分野からも盛んにオファーが寄せられている。
 このため同社では来年には生産量を増やして各国の引き合いに積極的に対応、そして04年に本格上市に踏み切ることにしている。
 
 このようないわゆる副作用の心配のない医薬品の中間体に対する潜在需要は極めて大きい。同社では、04年に30億円の、そして07年には100億円の需要を確保していきたいとしている。