——業界では、中東勢が出てくる09年以降の世界のポリオレフィン需給バランスを警戒する声が高まっています。どう見ますか。
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需要自体は今後も着実に伸びていくと見ている。特にアジア地域では中国とインドの経済成長が大きく寄与し、他の地域以上に順調な伸びを続けると期待している。
だが、08年下期から中東で大型ポリオレフィン設備が相次いで完成し稼動入りする見通しなので軽視はできない。おそらく2010年から2011年がポリオレフィン各社にとって最も厳しい事態になると思う。
だからこそ、いま挙げた「基本戦略」をより深化させていくことが必要だ。それを怠ると原料価格面で圧倒的に優位な中東勢に市場を席巻され、当社とて存続の危機に見舞われることになるだろう。 |
——具体的にどんな手立てを考えていくのか。 |
ポイントは、中東品の影響を受けにくい付加価値分野の構成比をいかに引き上げていくかだ。付加価値分野の構成比が50%程度では満足していられない。目指すべきは70%ラインだ。
「エボリュー」の付加価値分野は、すでに70%程度に達しているが、中身については一層の改善が必要で、新たな用途開発を進めていかないといけない。将来は海外にも大型プラントが持てるようにしたい。
PPの場合も、付加価値分野の構成比の向上は極めて重要だ。ついてはメタロセン触媒の採用で低温シール性に優れたフィルムや高融点のレトルト用途等向けの高付加価値グレードを可及的速やかに上市していきたい。08年央にもサンプルを試供できるようにしたいと考えている。
PP事業でもう一つ重要な課題は、国際競争力強化のためのビルド&スクラップのタイムリーな実現だ。汎用品と差別化品の両方を効率よく生産できる大型プラントを新設し、生産効率の低い既存の小型プラントを廃棄する。現在そのフィジビリティスタディーを実施中だ。できれば2012年に年産20ー30万トンクラスの新プラントを完成させたい。 |
——PPでは自動車用コンパウンド事業の国際展開に積極的に取り組んでいます。ベースポリマーでも海外進出を考えているのでは。
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わが国の自動車メーカーの積極的な国際展開に合わせて、コンパウンドの生産拠点はもっと拡充していく必要がある。このためインドに新たな拠点を設けるほか、既存拠点の設備能力も毎年増強し、2010年には全世界で年間80万トンの生産体制を確立するように持っていきたい。ただ、ベースポリマーの海外進出についてはまだお話できる段階にない。
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——課題は、やはり高密度ポリエチレン事業の強化。期待のメタロセン触媒による新品種の市場開拓はどのていど進んでいますか。
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当社はHDPEについても国内では比較的大きいといえる規模のプラントを3基保有しているので、コスト面で劣位にあるわけでは決してない。しかし、採算の確保が容易でなく将来の成長が期待しにくい汎用フィルム用途への依存度が高い点は大きな問題だ。現在の需要構造のままで発展を期すのは所詮無理というほかない。
そこで、現在汎用フィルムに替わる新しい市場を開拓していくためメタロセン触媒による新グレードの開発に懸命に取り組んでいる。
幸い、複数の大手ユーザーから高い評価を得ることができ、展望が開けつつある。まず小型ブローからスタートし、そのあと順次配水用大口径パイプや多層フィルム用などの高機能品を市場に投入していく方針だ。
だが、のんびり構えている余裕はない。一定期間内、できれば4年以内に既存のプラントの一つの2分の1をメタロセン触媒による新グレードに切り替えられるようにしたい。 |
——そうなれは、大競争時代への備えも万全になると。
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いや、これまで挙げた課題を全部クリアしなければ、世界で存在感が認められる企業にはとてもなれない。当面の目標は、コスト面でも品質面でも、少なくともアジアで強力な存在感のあるポリオレフィン企業になることだが、それだって容易ではない。
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——新社長として、今、社員に一番言いたいことは。
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明るくて風通しがよく、全ての事柄がスピーディに決定し、効率よく実行されていく・・・。これからの時代に生き残っていくのは、そういう社風を持った企業ではないだろうか。当社もそういう会社であってほしい。社員の一人ひとりが働らき甲斐を持ち、プライムポリマーのためにベストを尽くす、ぜひそういう会社であってほしいし、そうしたいと思っているところだ。
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