—すると、化学物質のエンドクリン問題について白か黒かの結論が出るまでに、なおかなりの時間がかかることになりますか。 |
物質によってはある程度時間がかかることになると思う。スチレンのダイマーやトリマーの場合は多くの試験・実験が行われてきた結果問題がないとの評価が国際的に下されるようになってきているが、その一方でははっきりしないものも少なからず存在している。したがって、全ての化学物質について結論が出るまでにはかなり時間が必要となろう。しかしわれわれとしては、ことがらの性質上、極力丁寧に取り組んでいくほかない。そのへんは、消費者の方々も化学業界のみなさんもどうかよくご理解いただきたい。
ダイオキシンと塩ビの関わりについても、いろんな条件を設定して実験してからでないとはっきりしたことは言うべきでないと思う。 |
—しかし、1年少し後には省庁再編が予定されています。このままいくとすべての問題を先送りすることになりませんか。 |
そうならないようにするのが現在この仕事に携わっている私達の最重要使命と考えている。私達の手で解決できることはむろん遅滞なく片付けていく。一方、どうしても新しい組織に委ねざるを得ないケースについても、担当者がスムースに問題を解決できるようにネックの解消に努めるなどで環境条件の整備を進めていきたい。 |
—衛生・安全性の確保と並ぶ当面の重要政策課題はリサイクルの推進と言えます。来年4月1日からは「容器包装リサイクル法」が本格施行となります。準備は順調に進んでいますか。
|
来春からは、いわゆる”その他プラスチック”と紙製の容器包装が法律の対象となるわけで、これがスムースにいくかどうかで同法の成否が大きく左右されると言って過言でない。幸い自治体の分別収集の準備はどうやら順調に運んでいるようだ。あとは、排出サイドと再商品化に関わる方々の知恵と努力に期待する。
しかし、ごみ問題の最大のネックはやはり廃棄物の排出の絶対量が多いことにある。容器包装リサイクル法の施行などで処理体制はかなり充実したものとなる。したがってこれからは、排出する側の人々が排出量の削減にどう取り組むかが大きなポイントとなる。産業界の皆さんには減量化のために大いに知恵を絞っていただきたい。そうでないと、ごみ問題の根本的な解決はいつまでたっても実現しない。プラスチック製品の場合も、本当にそれを世間が必要としているかどうかをもう一度見直すことが求められよう。過剰包装のさらなる自粛も課題の一つと言える。つまりは、循環型経済社会の構築に産業界全体で本腰を入れて取り組んでいくことが望まれるわけで、化学業界の皆さんの行動にも私達は大きな期待を寄せている。
一方私達自身の最重要課題は、さきほども触れたように2001年早々の省庁再編に際してベストのかたちで新組織にバトンを渡すことにある。ついては、関連する法律の不備なところを改めることも含めて木目細かく現状をチェックして整備すべき点をきちんと整備していきたい。 |