━需要家の抱えている問題の解決を、どんなかたちで実現していくのですか。 |
需要家つまり、流通業界の皆さんや一般消費者の方々の声を直接お聞きし、その結果をきちんと踏まえて、真にニーズにマッチした商品をタイムリーに提供していく。それに必要な関連システムや機械、さらに使用ソフトやサービスなどをパッケージにして顧客の皆さんに紹介あるいは提案していくという方法を取っている。顧客の皆さんが抱えている問題を解決するとともに、消費者のニーズにもより的確に対応していくことができるようになりつつある。
こうした手法は、食肉包装材で世界の市場の80%を占めている米・シールドエア社がいち早く採用して大きな成果を上げている。3年前にシールドエア社を訪問してこの話を聞いて以来、いつか当社でも採用したいと考えていた。いま実行に踏み切ることができた。 |
━そのソルーションシステムによって生れたものにどんなものが。
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例えばコーヒーの大手チェーン店で人気のPP製透明カップとか、NTTで採用された生分解性フィルム、焦げ付きの心配のないアルミホイル、有名キャラクター印刷の入浴剤や石鹸、ジッパー付き食品保存袋、大手コンビニに納入中の新タイプの食品包装材容器、米国で特に人気の高いPVDCによる人形の毛髪など、枚挙にいとまがない。
中国の大手ソーセージメーカーで採用されているイージーオープンタイプのPVDCフィルムもその一つだ。旧カンパニーの時代に開発したものだが、その後に国内の大手食肉メーカーと有力機械メーカーの協力を得て開発した高速充填結束装置を顧客に紹介したのが決め手となって、いま大きく伸びている。中国のソーセージメーカーへの今年の納入量は2年前の2倍となる見通しだ。 |
━既存商品については今後どんなことを考えていくと。 |
さいわい、「サランラップ」をはじめ多くの商品が引き続き順調に伸びている。しかし手を拱いていると必ず後発の追い上げにあい窮地に陥る。それを防ぐには、常に市場に足を運んで流通分野や一般消費者の生の声を聞くことが大切だ。私は、ときどき国内だけでなく中国のスーパーなども訪問して、ちょんまげ姿やマジシャンの扮装をして店頭に立ち「サランラップ」などのPRやデモンストレーションを演じたりしているが、これも常に市場と密接にかかわりを持っていたいと考えているからだ。 |
━中国で「サランラップ」の需要は伸びていますか。 |
中国で販売を始めて2年になるが、さいわい品質が評価されて順調に伸びている。後発なので現在の市場占有率は20%ていどだが、3年後にはトップに立てると思う。中国以外にも台湾、香港、タイ、韓国、マレーシア、シンガポールなどに市場基盤を構築中だ。来年以降はベトナム、フィリピン、インドネシアなどにも進出したい。 |
━旭化成ライヒ&リビングの今期の業績見通しと経営課題を。 |
この3月期の売上高は前年の10%増の630億円、営業利益は前年より20%弱増えて55億円強になる見込みだ。だが、これで満足してはおれない。グローバルな事業の拡充にはかなりの資金も必要になるからだ。したがって、当面の課題は収益力のもう一段の強化ということになる。3年後には売上げ高850億円、税前利益率10%を確保したいと考えている。
ついては、事業展開の効率向上にも大いに知恵を絞っていく必要がある。昨年12月に発表した大日本インキ化学工業とのOPS事業の一体化もそうした考えに基づいた施策の一つであり、早急に統合効果を上げていきたい。今後もこの種のアライアンスには積極的に取り組んでいくようにしたい。
それともう一つの重要課題は技術力の一層の強化だ。“全ての商品がナンバーワンあるいはオンリーワンの技術によって支えられている企業”というのが私達の目指す企業像だ。“ワールドソリューションカンパニー”の円滑な実現のためにもぜひこの課題を着実にクリアしていきたい。 |