—分解炉を追加したことで余裕のある運転ができるようになったと。 |
エチレンプラントは分解炉に余裕がないと効率的な運転は難しい。例えば原料ナフサにしても最近は重質化の傾向にある。比較的安価な重質ナフサを使って期待通りのエチレン生産を達成するためには分解炉に余裕が必要になってくる。
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—石化業界の中には、石化品の内需は伸びていないのに、いつまでも輸出に依存していいのか、という声もあります。 |
現在、日本はエチレンを輸出できる環境にあり、供給余力のある国にはそれなりの供給責任がある。相手の国はどうかというと、まだ十分な生産体制が整っていない。それを補完してやることは決して悪いことではないと思う。相手が欲しいと言ってきており、向こうも必要だから買っている。
長い目でみれば、確かにいまの状況は輸出ウェートが高すぎるかな、ということはあるかもしれない。でも、需要はまだまだ広がる。アジアの次はインド、アフリカと拡大していく。そう心配しなくていいのではないだろうか。 |
—エチレンの需要もまだ増える。そう心配しなくていいということですか。 |
世界のエチレン需要は年間8,500万トン程度あると考えると、今後の伸びを年率2〜2.5%と仮定した場合、年間200万トンのエチレン需要が新たに発生することになる。局所的に見れば、日本は生産設備が過剰といえるかもしれないが、世界全体の伸びの中で十分吸収できる。同じようにナフサを輸入してエチレンを生産している他のアジア諸国に比べれば、日本は技術水準は高いし、製品バランスもとれている。局所論で見ることの是非はあると思う。 |
—日曹油化の株式を取得されました。狙いはどこにあるのですか。 |
エチレンの安定的な需要先確保が第一の目的だ。EGは市況の変動が激しく、事業環境は厳しい状況にあるが、徹底した合理化を追及していけば生き残りは十分可能と考えている。また、EO誘導品事業を強化し、付加価値の高い製品の開発、拡販にも注力していきたい。
確かに、サウジとかカナダといったように原料がエタンベースのところに比べればコスト的に不利といえるかもしれないが、全部がエタンベースというわけではない。中長期的に見れば原料ナフサベースからマイナスいくらというコスト水準に落ち着いてくるのではないか。
今、世界各国、特に途上国の生活レベルはどんどん向上している。繊維製品の需要も伸びている。EG市場の将来性はあると考えている。 |
—石化業界では国際競争力の強化が課題になっています。「地縁関係」を軸にした連携の動きも高まっています。 |
その点千葉地区は丸善石化、住友化学、三井化学、出光石化と4センターが隣り合っており、パイプ網を張りめぐらして原料から製品、バイプロとあらゆるものをフルに活用しあっている。規模からいってもバランスからいっても、これだけ充実しているセンターは世界中にもそうはない。減価償却も進んでおり、競争力は今でもあると思う。ただ、生産設備はそうであっても、ドルベースでみた場合、日本は1人当たりの労務費が他の国に比べて高い。これが土地代、電気代、輸送費等あらゆるところにかかってくるから価格競争力を弱めてしまう。今後はさらに合理化していきたいと、検討しているところだ。 |
—今、石化業界各社に言いたいことは何ですか。 |
これからは韓国や台湾、東南アジア各国が相当力をつけてくる。特に、韓国は設備も新しいし、規模からいっても相当手強い相手になってくる。日本は石化産業全体から見て、まず末端の加工業界の競争力をつけなければならない。歴史的に見れば、これまでは加工業界はよく頑張ってきた。今から30年前、40年前にわが国の石化業界がキャッチアップできたのは加工業界の皆さんのお陰と言っていい。だが、これからはさらに近代化して力をつけてほしい。それと誘導品分野だ。樹脂メーカーは、今アライアンスをやっておられるが、さらに強い競争力をもってほしい。われわれ原料メーカーも国際的に負けない価格で原料が供給できるようコスト削減に一層努力したいと思っている。 |