━中央化学はもっぱら食品容器に的を絞ってきたわけですが、その理由は何ですか。 |
容器・包装は生活必需品の一つであると同時に文化のバロメータでもある。しかも、日本人は優れた容器・包装に対して強いこだわりを示す。したがって、日本では文化の向上とともに優れた容器・包装は必ず伸びるというのがかねてからの私の信念であり、その信念をベースに、プラスチックの持つ特徴をフルに発揮できる高機能製品の開発と育成に専念してきたわけだ。 |
━企業化製品の主力はあくまでも高付加価値タイプなのですか。
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プラスチック食品容器も、他の製品同様にいわゆる"安かろう、悪かろう"と称されるタイプのものは自ずと短命に終わる。また、そこまで低品位のものでなくとも汎用品種と呼ばれるものに多くを依存していくと、景気全体が落ちこんだときに数量と価格の両面で大変な苦境に立たされることになる。このため当社では、時代のニーズを的確に捉えた当社特有の付加価値の高い製品をタイムリーに開発・上市していくことを経営の基本に置いてきた。この点は多くの需要家の皆さんからお認めいただいていると自負している。 |
━新製品の開発と一口に言っても、実現は容易でないように思えますが。 |
要は、消費者の立場に立ってどんなものが欲しいかをよく考えることだ。そうすれば自ずと答えは見出せる。そんなに難しいことではない。 |
━ところで渡辺さんは、ずいぶん早くから企業化製品の廃棄物対策に意欲的に取り組んできましたが、その歩みと背景をざっとお話いただきたい。 |
昭和40年当時、つまりいまから35年ほど前に自社工場内で発生するプラスチック加工くずの再利用に着手したのが始まりで、それが狙いとおりに実現できるようなったため次のステップとして、市場に排出される使用済み製品を対象に再利用技術の開発とその普及、ならびに易焼却処理タイプの製品の開発などに取り組み、現在にいたっている。これは、いずれ世間がプラスチックメーカーに対して企業責任の一つとしてしっかりした廃棄物対策の展開を強く求めるようにな見ていたからだ。 |
━この間、回収トレーを粉砕したりインゴットにしたり、さらには日用雑貨に加工したりと様々なリサイクル手法に果敢に挑戦してきましたが、決め手は見つかりましたか。
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いろんな方法にトライし、トレーに戻すことについても十分研究してきた。しかしその結果、経済面のネックから言ってもまた食品衛生上の安全性の面から言っても食品用トレーへの再生を目指すべきではないとの結論に達している。このため現在リサイクルに関しては、インテリア・シート、家具、大型雑貨等への再生に力点を置いている。一方では、タルク入りの低カロリー型で省資源・省エネルギータイプでもある易焼却処理製品「CT」も開発して普及を図ってきたが、これはさいわい市場で好評を得ており、中国でも大々的に企業化できそうだ。
けれど、廃プラスチック問題全体について言えば、環境リスクの問題やトータルエネルギーコストの問題を考えると、ごみ発電への利用が最適と言える。国としてもぜひこの方向を強く推進していってほしい。 |
━ところで、来年4月からは容器リサイクル法が本格施行となります。プラスチック製食品容器業界の対応はどうなりますか。 |
現在私たちは、トレーの回収から処理まで全て自らの費用負担で進めているところで、これには各社とも大変な負担を強いられている。今後は自治体が家庭から分別収集することになるので収集負担はあるていど軽減する見通しにする。しかし、それをペレットや加工製品に再生するには大変なコストがかかるのでとても採算は確保できない。これはわれわれにとって引き続き大きな悩みとなる。それだけに行政府には、高炉還元材やコークス炉利用にも大きな道を開くなどの支援をぜひ積極的に進めていただきたいとお願いしたい。
一方私たち自身としては、廃棄後に問題が生じない製品の開発と育成などにもより多くのエネルギーを投入していく必要がある。当社も、「CT」の育成に引き続き力を入れていきたい。同時に、衛生安全性にも十分配慮した適正なロングラン・ビジョンに基づいた事業展開がこれまで以上に大切になると考えている。 |